サブカル煮干し野郎

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#3おすすめ映画 老人Z~社会問題と愛の物語~

 本は現在超高齢化社会ですね。今回紹介する映画はそんな高齢者問題についてコミカル、ハイテンポな展開で繰り広げられるアニメ映画

 

老人Z

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基本情報

〇原作・脚本・メカニックデザイン 大友克洋

〇監督 北久保孔之

〇キャラクターデザイン 江口寿史

〇製作 A.P.P.P

〇公開年 1991年

〇上映時間 80分

〇ジャンル SF

 

あらすじ

 護学校に通う晴子はボランティアで高沢老人の介護を行っていたが、高沢が最新型介護ロボット「Z-001号機」のモニターに選ばれ、お役目御免となってしまう。見舞いに行った先でチューブだらけになった高沢の姿を見てショックを受けた晴子は高沢を助け出そうとするも失敗し、実習先で知り合った老人ハッカーたちに助けを求める。

 「AKIRA」の作者で知られている大友克洋原作のアニメーション映画です。1991年と約30年前の映画ですが、むしろ新鮮すぎる設定や作画に目が奪われます。

 映画の予告編がYouTubeにありました。

youtu.be

 

登場人物

 高沢喜十郎

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 東京の下町で独り暮らしをしている82歳の寝たきり老人。晴子に介護のボランティアをしてもらっています。介護ロボットのモニターに選ばれ、自宅から拉致されてしまいます。亡き妻のハルに強い想いを寄せています。

 

 三橋晴子

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 芙蓉看護学院2回生。19歳。喜十郎をボランティアで介護しています。芯が強く行動力がある子です。さらに拉致された喜十郎を常に気遣うなど、心優しい性格です。寺田の介護ロボットによる介護のやり方に異を唱えます。時代が一回りして現代風なキャラデザインに見えるのは私だけでしょうか。

 

 高沢ハル

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 画像左の遺影。喜十郎の亡き妻。享年72歳。晴子と名前(ハル)が似ているのはわざと寄せているのでしょうか。

 

 寺田卓

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 厚生省の官僚。41歳。高齢者問題に取り組み、強い使命感を持っています。第6世代コンピューターを搭載した介護ロボット導入計画を推進します。堅苦しい人物だと見られますが根は善良です。「厚生省をなめるなよ!」が口癖。

 

 長谷川良彦

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 西橋商事の社員。36歳。第6世代コンピューターを搭載した介護ロボットを軍事利用緒ためのテスト機と知りつつ、介護ロボットと偽って厚生省に提供します。

 

 介護ロボZ-001号機

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 第6世代コンピューターを搭載した高機能介護ロボット。人工知能ナノテクノロジーを併せ持ち、画像のように周囲のものを取り込んでしまいます。

 

 老人ハッカー集団

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 看護病院で晴子が出会った老人ハッカー集団。不正を働く会社のコンピューターをハッキングして悪事を暴くのを趣味にしている。第6世代コンピューターにハルの人格を持たせた人物達。

 

未だに色あせない魅力

 30年という月日が経とうが、決して古臭く感じさせない「老人Z」。その魅力について煮干し視点で紹介します。

 

1.高齢者を中心とした斬新な設定

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 齢化社会という文化ではニッチなところに焦点をおいた設定が面白いです。活躍するのは高齢者。それを制御できなかったり振り回されたりするのが若者。この構造が90年代初期の映画であっても、飽きずに80分間見続けられる理由の一つだと思います。喜十郎とハルが思い出の場所へ駆け出すために病院を破壊したり、実習先の老人ハッカー集団が第6世代コンピューターへハッキングする様は痛快です。

 

2.ハイテンポ且つコミカルな展開

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 80分間という長編映画では短めな上映時間です。しかし、その短時間に内容が凝縮されています。登場人物紹介ではしきれなかった晴子の友達も出てきますが、恋愛や人間関係など無駄を極力省き、「介護されている人間」と「介護する人間」に絞って物語が展開されます。また、介護問題という社会問題に切り込んだ物語ですが、コミカルな演出が多数散りばめられているので、80分間あっという間に過ぎてしまいます。

 

3.高齢者問題なのにメカニックデザインがカッコいい

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 護ロボット「Z-001号機」はナノテクノロジーを搭載しており、周囲の物(ダンプカーやショベルカー、大仏まで)を取り込んで自己進化していきます。ごちゃ混ぜなデザインですが、どこか人間らしい動きを見せるのです。また、「軍事用Z-001号機」vs「介護用Z-001号機」のアクションシーンでは、ロボットアニメと錯覚させるようなシーンもあります。大友克洋メカニックデザインを担当しているからこそ出せる迫力があります。

 

4.介護を通して考えさせられる「愛」

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 際の介護現場では介護人口の増加や人手不足など、様々な問題を抱えています。その問題を解決したい人間と、介護するために温もりや家族など「愛」を通して行うべきだという主張のぶつかり合いでもあります。現代社会でも解決できていない課題へ一石を投じた作品テーマに考えさせられます。

 

 近のアニメ映画では「実写と変わらない美しさ」や「CGを駆使した幻想世界」など、最新技術を使った魅力もあります。しかし、この映画はアニメーターがほぼ手書きで作製されています。物語ラストのZ-001号機のデザインも「AKIRA」を感じさせる細かい描写にも注目です。

 

まとめ

 老人Zについて魅力を紹介しました。

 

 1.高齢者を中心とした斬新な設定

 2.ハイテンポ且つコミカルな展開

 3.高齢者問題なのにメカニックデザインがカッコいい

 4.介護を通して考えさせられる「愛」

 

 以上3点から、老人Zをおすすめしたいです。